升麻(ショウマ)とは?解熱・炎症に効果あり!体の倦怠感を軽減する生薬の特徴と効果

ショウマ(升麻)をお皿いっぱいに乗せている写真

升麻(ショウマ)は古くから、解熱・抗炎症作用を目的として漢方薬に活用されてきました。

升麻(ショウマ)の根茎を乾燥させた生薬には、鎮痛や解熱作用があり、アレルギー性皮膚炎の改善に期待されています。

今回は生薬として使われている升麻(ショウマ)の特徴や効能、配合されている漢方薬について詳しく解説します。

目次

升麻(ショウマ)とは発熱・炎症に効果がある生薬

サラシナショウマが左斜めに並んで写っている写真

升麻(ショウマ)は、キンポウゲ科のサラシナショウマの根茎を乾燥させた生薬であり、東洋医学において多くの症状の緩和に用いられてきました。

概要は以下の通りです。

升麻(ショウマ)の概要について

生薬名升麻(ショウマ)
学名CIMICIFUGAE RHIZOMA
基原Cimicifuga dahurica Maximowicz,Cimicifuga heracleifolia Komarov,Cimicifuga foetida Linné,Cimicifuga simplex Turczaninow
キンポウゲ科 多年生草本
薬用部位根茎
産地中国、韓国など
主要成分・クロモン誘導体のシミフギン
・ケロール
・アミオール
・フェノールカルボン酸のカフェ酸
・ステロイドのシトステロール
主な薬効・解熱・鎮痛作用
・肛門部炎症作用の抑制
・むくみの緩和
・炎症抑制作用
・解熱、解毒作用

升麻(ショウマ)は、風邪の初期症状や気の巡りの悪さによる不調にも役立つとされています。

参考:National Library of Medicine | Secondary Metabolites with Anti-Inflammatory from the Roots of Cimicifuga taiwanensis | Published: 2 March 2022

升麻(ショウマ)の主要成分

升麻(ショウマ)はシミゲノールというトリテルペノイドが主な成分です。

また以下のような成分を含んでいます。

  • クロモン誘導体のシミフギン
  • ケロール
  • アミオール
  • フェノールカルボン酸のカフェ酸
  • ステロイドのシトステロール

中でも升麻(ショウマ)の主成分であるシミゲノールは、抗がん作用の可能性があると海外の研究で発表されています。

参考:J-GLOBAL|癌予防薬 パート1:シミゲノール,シミゲノール-3,15-ジオンおよび関連化合物の化学予防の可能性【JST・京大機械翻訳】

升麻(ショウマ)の種類

升麻(ショウマ)と名前がつく植物にはユキノシタ科やキンポウゲ科などさまざまな種類があり、生薬の升麻(ショウマ)に姿が似ていることから付けられたといわれるものもあります。

主要なショウマの植物の種類と効能は以下の通りです。

ショウマと名前がつく植物の種類と効能

植物名分類効能
(以下の効果があるとされています。)
サラシナショウマキンポウゲ科・体温調節を助ける
・アレルギー性のかゆみの緩和
・口内炎といった炎症の緩和
・むくみの緩和
・喉の痛みを緩和
アカショウマユキノシタ科・脂肪吸収の抑制
ヤマブキショウマバラ科・体温調節を助ける
オオバショウマキンポウゲ科・体温調節を助ける
・痛みによる不快感の緩和
・炎症の緩和
・喉の腫れの緩和

このようにショウマとつく植物には多様な種類が存在し、効能がそれぞれ違います。

しかし主な効能としては、解熱・発汗作用とされています。

升麻(ショウマ)の生薬としての特徴

升麻(ショウマ)は、サラシナショウマやその同族近縁植物の根茎を乾燥させたものです。

漢方薬には「寒・涼・熱・温」の概念が存在し、升麻(ショウマ)は微寒性に分けられます。

寒・涼性の生薬は熱を下げる作用があるとされています。

また、升麻(ショウマ)には「甘・辛」の性味があり、性味により効能が異なります。

五味と効能

  • 甘:急な痛みを和らげ胃腸の働きを助ける
  • 辛:気の巡りをよくして血行を促進する

このように升麻(ショウマ)には胃腸の働きを助ける「甘」を持つため、食欲不振を改善して気を高める効果があると考えられています。

升麻(ショウマ)の効能

ショウマ(升麻)を斜め上から撮影した写真

升麻(ショウマ)は東洋医学において、熱を取り去り、興奮状態を改善する働きがあります。

また、胃の調子を整えて気を高め、疲労回復をサポートする役割もあります。

升麻(ショウマ)の主な効能は以下の3つとされています。

  • 発汗・解熱の作用
  • アレルギー性のかゆみの緩和
  • 肛門部の炎症を抑える作用

それぞれ詳しく解説していきます。

発汗・解熱の作用

升麻(ショウマ)は清熱作用により、熱を下げる働きがあります。

清熱作用とは、体内の熱を取り除き、不安や不眠の興奮状態を緩和するとされています。

日本の夏の過ごし方として、体に余分な熱を溜めないことが重要です。

熱を体外に出す清熱作用がある升麻(ショウマ)は、元気に夏を乗り切るために大切な生薬といえるでしょう。

皮膚炎の緩和

升麻(ショウマ)は透疹(とうしん)作用があるとされています。

透疹とは、蕁麻疹(じんましん)といった皮膚炎の初期に発汗とともに発疹を促し、炎症の原因物質を体外に排出する作用です。

肛門部の炎症を抑える作用

升麻(ショウマ)には昇堤作用によって、脱肛や子宮下垂などの症状を緩和する働きがあるといわれています。

昇堤作用により下がってしまった臓器を陽気の力で持ち上げ、症状の緩和に役立ちます。

また肛門部の潰瘍抑制作用もあるとされています。

このため、升麻(ショウマ)は痔核の疼痛や出血、脱肛に用いられる乙字湯という漢方に配合されています。

升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)と葛根湯(カッコントウ)の違い

一本のサラシナショウマをアップにして撮影した写真

混同されやすい漢方として升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)と葛根湯(カッコントウ)があります。

この2つには大きな違いがあります。

主な違いとしては、升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)は発疹を伴う発熱などを発症した場合に、発疹を出し体外に炎症の原因物質を排出する透疹(トウシン)作用があるとされていることです。

2つの漢方薬の違いについては以下の表の通りです。

升麻葛根湯と葛根湯の違い

名称升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)葛根湯(カッコントウ)
由来升麻(ショウマ)と葛根(カッコン)が主成分であることが由来クズの根(葛根)が主成分であることが由来
成分・升麻(ショウマ)
・葛根(カッコン)
・甘草(カンゾウ)
・芍薬(シャクヤク)
・生姜(ショウキョウ)
・葛根(カッコン)
・大棗(タイソウ)
・麻黄(マオウ)
・甘草(カンゾウ)
・桂皮(ケイヒ)
・芍薬(シャクヤク)
・生姜(ショウキョウ)
効能・風邪の初期症状(頭痛や体の痛み、悪寒など)
・アレルギー性皮膚炎の発疹の出始め
・頭痛、発熱などの風邪症状
・肩こりなどの首筋の凝り
・鼻炎
・乳腺炎
副作用・食欲不振
・胃部不快感
・発疹
・発赤
・かゆみ
・吐き気
・食欲不振
・胃部不快感

このように、葛根湯(カッコントウ)は風邪のひき始めや首筋の凝りを和らげる効果があるのに対し、升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)は、アレルギー性もしくはウイルス性の発疹の初期に発疹を促し毒素を排出する働きがあるとされています。

升麻(ショウマ)が含まれる代表的な漢方

ショウマ(升麻)をアップで撮影した写真

升麻(ショウマ)は幅広い症状に対して効果がありますが、どのような漢方薬に含まれているのでしょうか。

代表的な漢方は以下のものが挙げられます。

  • 乙字湯(オツジトウ)
  • 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
  • 辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)

升麻(ショウマ)だけを用いることはほとんどなく、他の生薬と組み合わせることで、さまざまな効果を発揮します。

乙字湯(オツジトウ):痔やお通じ・便秘に効果があるとされている漢方

乙字湯(オツジトウ)は、痔疾に使われてきた漢方薬です。

乙字湯は江戸時代中期の叢桂亭医事小言(そうけいていいじしょうげん)に記されている歴史のある漢方薬です。

構成生薬

  • 当帰(トウキ)
  • 柴胡(サイコ)
  • 黄芩(オウゴン)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 升麻(ショウマ)
  • 大黄(ダイオウ)

効能

  • 軽度の痔による疼痛、出血、肛門裂傷や初期の脱肛の緩和
  • 慢性的な下痢による脱肛の緩和
  • 肛門周囲の湿疹や痒みの緩和
  • 女性の外陰部の湿疹や掻痒感を軽減

おすすめな人

  • 痔などの肛門周囲の潰瘍がある方
  • お通じや便秘を改善したい方

乙字湯は切らずに痔を直すといわれている漢方薬で、軽症の痔疾に効果があるとされています。

補中益気湯(ホチュウエッキトウ):体力回復に効果があるとされている漢方

補中益気湯(ホチュウエッキトウ)は、使用頻度の高い漢方薬の一つです。

構成生薬

  • 人参(ニンジン)
  • 白朮(ビャクジュツ)
  • 黄耆(オウギ)
  • 当帰(トウキ)
  • 陳皮(チンピ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 柴胡(サイコ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 升麻(ショウマ)

効能

  • 胃腸などの消化器官の機能調整
  • 栄養吸収の促進
  • 体力や気力の回復

おすすめな人

  • 気力・体力が低下し、元気が出ない方
  • 疲れやすく体がだるい方
  • 体力がなく風邪が長引いたり、すっきり回復しない方
  • 夏バテで食欲がない方

補中益気湯は、消化機能を整え、活力回復のサポートをする漢方薬とされています。

最近では軽症うつにも処方され、エネルギーを補う漢方薬として期待されています。

辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ):鼻づまりや副鼻腔炎に用いられてきた漢方

モクレン科のコブシやモクレンの蕾を使用する辛夷(シンイ)は、鼻づまりを改善する生薬として知られています。

構成生薬

  • 辛夷(シンイ)
  • 黄芩(オウゴン)
  • 山梔子(サンシシ)
  • 麦門冬(バクモントウ)
  • 百合(ヒャクゴウ)
  • 石膏(セッコウ)
  • 知母(チモ)
  • 枇杷葉(ビワヨウ)
  • 升麻(ショウマ)

効能

  • 副鼻腔炎の症状緩和
  • 鼻の炎症の緩和

おすすめな人

  • アレルギー性鼻炎の方
  • 副鼻腔炎の方
  • 鼻づまりに悩んでいる方

升麻(ショウマ)は昔から人々の生活に寄り添ってきた生薬

サラシナショウマが生い茂っている写真 ※ショウマ(升麻)はサラシナショウマの根茎

生薬として使われる升麻(ショウマ)は、主にサラシナショウマを使用しています。

サラシナショウマには、解熱効果や発汗作用、抗炎症作用があるとされ、古くから漢方薬に用いられていました。

升麻(ショウマ)の効能は下記といわれています。

  • 解熱・発汗作用
  • アレルギー性皮膚炎などの症状緩和
  • 肛門部の潰瘍などの炎症抑制

升麻(ショウマ)は風邪症状を和らげるだけでなく、胃腸といった消化器官の機能を整え、生命活動に必要なエネルギーを高める生薬として、今後も広く活用されるでしょう。

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