香附子(コウブシ)とは?自律神経ケアやストレスの緩和にも役立つ生薬の効能と特徴を解説

ハマスゲの写真 ※コウブシ(香附子)はハマスゲの根茎

漢方薬の原料として古くから重宝されてきた香附子(コウブシ)は、気の流れを整え、心身のバランスをサポートする生薬といわれています。

とくに自律神経の乱れに悩む方にとって、頼れる存在といえるでしょう。

今回は香附子(コウブシ)の特徴や効能について詳しく解説します。

目次

香附子(コウブシ)とはイライラや月経不順の緩和に効く生薬のこと

ハマスゲの写真 ※コウブシ(香附子)はハマスゲの根茎

香附子(コウブシ)とはイライラや月経不順の緩和に効く生薬のこと

香附子(コウブシ)は、カヤツリグサ科のハマスゲという植物の根茎から採取される生薬です。概要は下記の通りです。

香附子(コウブシ)の概要について

生薬名香附子(コウブシ)
学名Cyperus rotundus
基原Cyperus rotundus Linné ハマスゲカヤツリグサ科 根茎
薬用部位根茎
産地中国、韓国
主要成分・α-キペロン(セスキテルペノイド系の成分)
・キペロール
・キペレン
・スゲオノール
主な薬効・月経不順による不調
・ストレスによる頭痛
・腹部の張りや痛み
・気分の落ち込みやふさぎ込み
・イライラや精神的な不安定さ
・解熱作用
・炎症の緩和
・下痢の緩和

参考:National Library of Medicine | Cyperus rotundus L.: Traditional uses, phytochemistry, and pharmacological activities | Epub 20. Aug. 2015.

香附子(コウブシ)の主要成分

香附子(コウブシ)には、さまざまな有効成分が含まれていますが、とくに重要な成分は精油です。

精油は全体の0.6~1.0%を占めており、以下のような成分を含んでいます。

  • α-キペロン(セスキテルペノイド系の成分)
  • キペロール
  • キペレン
  • スゲオノール

精油成分には、通経(生理を整える)作用、鎮静作用があるとされています。

また、古くからリラックス効果を持つアロマ成分としても知られています。

生薬の特徴

香附子(コウブシ)は、独特の風味と香りを持つ生薬です。

香附子(コウブシ)には、3つの性味があり、それぞれが独自の効果を発揮します。

性味と効果

  • 辛味:気の流れを促進し、体内のエネルギーをスムーズに巡らせる
  • 苦味:体全体のバランスを整え、余分な熱や湿気を取り除く
  • 微甘味:血行を促進し、筋肉の緊張をほぐす

香りと癒し効果

胡椒(コショウ)のような香りがあり、下記のような効果があるとされています。

  • 心を落ち着かせるリラックス効果
  • ストレスをやわらげる鎮静作用

香附子(コウブシ)は味と香りの両面から、心身を整えてくれる生薬といわれています。

香附子(コウブシ)の効能

ハマスゲの写真 ※コウブシ(香附子)はハマスゲの根茎

香附子(コウブシ)の効能

香附子(コウブシ)のおもな効能は、以下4つといわれています。

  • 自律神経のサポートをする:疏肝(そかん)作用
  • 気の流れを改善し、ストレスや緊張を緩和する:理気(りき)作用
  • 月経痛や神経痛、腹痛をやわらげる:鎮痛作用
  • 月経不順を整える:調経(ちょうけい)作用

以下で詳しく説明します。

自律神経を整える

香附子(コウブシ)は、疏肝(そかん)作用によって自律神経のバランスを整えるとされています。

疏肝(そかん)作用とは、気(エネルギーや活力)の流れが滞っている状態をスムーズにし、気分や体調を整えることです。

イライラや不安感を軽減して精神を安定させるほか、リラックス効果によって心と身体を穏やかに保ちます。

疏肝(そかん)作用により、気分が晴れやかになり、睡眠の質が向上するなど、現代人が抱えやすい心身の不調をサポートしてくれる生薬といえます。

ストレスや緊張を緩和する

香附子(コウブシ)は、理気(りき)作用を持つ生薬で、体内の気(エネルギーや活力)の流れを整え、ストレスや緊張をほぐすとされています。

気の滞り(気滞)が原因で起こる気鬱を軽減するといわれています。

月経不順を整える

香附子(コウブシ)の調経(ちょうけい)作用は、女性のホルモンバランスを整え、月経不順を改善するとされています。

ストレスや生活リズムの乱れによって起こりやすい生理前のイライラといった症状を緩和します。

また、のぼせや不眠にも作用するとされています。

女科の主帥と呼ばれ、長年、女性の心と身体のケアにもちいられてきた生薬です。

月経痛や神経痛、腹痛を緩和する

香附子(コウブシ)は、鎮痛作用を持つ生薬であり、さまざまな痛みを緩和するとされています。

多くの女性が悩む月経痛をはじめ、ストレスが原因の頭痛や肩こり、筋肉の張り、腹痛、うつ症状にも効果があるといわれています。

香附子(コウブシ)の副作用は多量摂取により、倦怠感を感じること

ハマスゲの写真 ※コウブシ(香附子)はハマスゲの根茎

香附子(コウブシ)の副作用は多量摂取により、倦怠感を感じること

香附子(コウブシ)を、単独で多量摂取すると気や血の巡りが過剰になり、エネルギーや栄養を消耗し、疲労や倦怠感を感じる可能性があります。

より安全に服用するために、以下の点に注意が必要です。

使用上の注意点

  • 体力の弱い方は、医師に相談のうえで服用する
  • とくに疲れやすい方は、使用量や使用期間に注意する

妊娠中の方へ

香附子(コウブシ)は、妊娠中での使用は医師の指導のもとで使用可能とされる生薬です。

しかし、市販の漢方薬には香附子(コウブシ)以外の複数の生薬が配合されていることが多いため、製品ごとに使用可能かどうか医師にご相談ください。

香附子(コウブシ)と附子の違い

ハマスゲの写真 ※コウブシ(香附子)はハマスゲの根茎

香附子(コウブシ)と附子の違い

混同しやすい香附子(コウブシ)と附子(ブシ)は、異なる生薬です。

香附子(コウブシ)は、形が附子(ブシ)に似ており、特徴的な香りを持つことからこの名がつけられました。

以下の表で、それぞれの特徴を比較してみましょう。

香附子(コウブシ)と附子(ブシ)の違い比較表

項目香附子(コウブシ)附子
原料・カヤツリグサ科のハマスゲの地下茎から採取キンポウゲ科トリカブトの子根を乾燥させたもの
おもな成分シペロール、精油成分などアコニチン(アルカロイド)など
効能・ストレスや緊張の緩和
・自律神経の調整
・月経痛や不順の緩和
・気分の落ち込みの緩和
・強い鎮痛作用
・体を温める作用
・循環を促進する効果
副作用疲労・倦怠感・動悸やのぼせ
・口や舌のしびれ
・吐き気など

同じような名前ですが、性質は大きく異なります。

香附子(コウブシ)が含まれる代表的な漢方

ハマスゲの写真 ※コウブシ(香附子)はハマスゲの根茎

香附子(コウブシ)が含まれる代表的な漢方

香附子(コウブシ)は、多くの漢方薬に配合されており、代表的な漢方薬は下記の3つです。

  • 香蘇散(コウソサン)
  • 女神散(ニョシンサン)
  • 川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)

それぞれの漢方薬は、香附子(コウブシ)の特徴を活かしながら、ほかの生薬との組み合わせによって、さまざまな効果を発揮します。

香蘇散(コウソサン):風邪の初期や頭痛に効くとされる漢方

香蘇散(コウソサン)は、12世紀の中国で編纂された医薬品処方集「太平恵民和剤局方」に収載される歴史ある漢方薬です。

構成生薬

香附子(コウブシ)、蘇葉(ソヨウ)、陳皮(チンピ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)

効能

  • 気の巡りを改善し、気分の落ち込みをやわらげる
  • 風邪の初期症状をやわらげる

おすすめな人

  • 体力が低下している方、虚弱な方
  • 胃腸が弱い方
  • 神経質な方
  • 高齢の方
  • 気分がふさぎがちな方

近年では、高齢の方にも使われるようになった漢方薬です。

女神散(ニョシンサン):産前産後の神経症や月経不順に効くとされる漢方

女神散(ニョシンサン)は、日本で生まれた漢方薬で、13種類の生薬をバランスよく配合しています。

構成生薬

当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、香附子(コウブシ)、木香(モッコウ)、檳榔子(ビンロウジ)、人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)、桂皮(ケイヒ)、丁子(チョウジ)、黄芩(オウゴン)、黄連(オウレン)、甘草(カンゾウ)、大黄(ダイオウ)

効能

  • 不安感や落ち込みの緩和
  • めまいの緩和
  • のぼせや頭痛の緩和
  • 不眠や抑うつ症状の緩和
  • 自律神経の乱れの調整

おすすめな人

  • 更年期の不調がある方
  • 産後の体調不良の方
  • 月経に関連する不調がある方
  • ストレスによる心身の不調がある方

注意点

長期服用の場合は、甘草による副作用(脱力感、むくみ、血圧上昇、体重増加など)に注意が必要です。

これらの症状が出た場合は服用を中止してください。

川芎茶調散(センキュウチャチョウサン):自律神経の乱れや風邪症状に効くとされる漢方

川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)は、9種類の生薬を組み合わせた、使いやすいとされる漢方薬です。

構成生薬

川芎(センキュウ)、香附子(コウブシ)、薄荷(ハッカ)、荊芥(ケイガイ)、防風(ボウフウ)、白芷(ビャクシ)、羗活(カヨウカツ)、甘草(カンゾウ)、細茶(サイチャ)

効能

  • 頭痛の緩和
  • 気血の巡りのサポート
  • 自律神経の調整
  • 風邪症状(悪寒、発熱、鼻づまり)の緩和

おすすめな人

  • 慢性的な頭痛に悩む方
  • 鎮痛剤で胃腸トラブルを起こしやすい方
  • 自律神経の乱れによる頭痛がある方

女性の健康をサポートしてくれる漢方に使われている生薬が香附子(コウブシ)

ハマスゲの写真 ※コウブシ(香附子)はハマスゲの根茎

女性の健康をサポートしてくれる漢方に使われている生薬が香附子(コウブシ)

香附子(コウブシ)は、古くから女性の健康維持に役立つ生薬として漢方薬に使われてきました。

おもな効能は以下のとおりです。

  • 自律神経の調整:気の流れを整え、ストレスや緊張を緩和する
  • 月経不順のサポート:ホルモンバランスを整え、月経周期の乱れを整える
  • 鎮痛作用:月経痛や神経痛、腹痛などの痛みをやわらげる

香附子(コウブシ)は、女性の心身のバランスをサポートし、日常の健康管理に役立つ生薬として注目されています。

とくに、忙しい現代社会でストレスや体調不良に悩む女性にとって、香附子(コウブシ)を含む漢方薬は頼れる存在となるでしょう。

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