薏苡仁(ヨクイニン)とは?肌トラブルや関節痛に役立つ生薬の効能と特徴を解説

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)は、東洋医学で長年用いられてきた生薬の一つです。

とくに肌の健康維持をサポートする働きが注目されており、イボや肌荒れが気になる方に役立つとされています。

今回は、薏苡仁(ヨクイニン)の特徴や期待される効果についてご紹介します。

目次

薏苡仁(ヨクイニン)とは皮膚トラブルに働きかけ肌の健康維持に役立つ生薬

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)とは皮膚トラブルに働きかけ肌の健康維持に役立つ生薬

薏苡仁(ヨクイニン)は、イネ科ハトムギの種皮を除いた種子から作られる生薬です。

概要は以下の通りです。

薏苡仁(ヨクイニン)の概要について

生薬名薏苡仁(ヨクイニン)
学名Coicis Semen
基原ハトムギ Coix lacryma-jobi Linné var. mayuen Stapf(Gramineae)の種皮を除いた種子
薬用部位種子
産地中国,タイ,ベトナム,日本(青森,福島,広島,岡山,富山県)など
主要成分・デンプン(50~79 %)
・たん白質(16~19 %)
・脂肪油(7 %)
・多糖類など
主な薬効・ウイルス性のイボ
・肌荒れ
・デトックス効果
・肥満・生活習慣病予防効果
・鎮痛作用
・消炎作用

参考:National Library of Medicine | Actional Mechanisms of Active Ingredients in Functional Food Adlay for Human Health | Epub 27. Jul. 2022.

薏苡仁(ヨクイニン)の主要成分

薏苡仁(ヨクイニン)には、以下のような成分が含まれています。

  • デンプン(50~79%)
  • タンパク質(16~19%)
  • 脂肪油7%(パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸などのグリセリド)
  • カンペステロール
  • スティグマステロール
  • 多糖類
  • ビタミンB1
  • アミノ酸

これらの成分には肌の健康維持や代謝をサポートする働きがあるとされています。

薏苡仁(ヨクイニン)の特徴

薏苡仁(ヨクイニン)は、ハトムギの種子から作られる生薬です。

生薬には、性味と呼ばれる薬草の特性を示す概念があり、薏苡仁(ヨクイニン)には2つの性味があります。

性味と効果

  • 甘味:血の巡りをよくし、筋肉の緊張と痛みをやわらげる。
  • 微寒:水分バランスを整え、炎症をやわらげ、毒を排出するサポートをする。

近年の研究では、ハトムギ抽出エキスのなかに腫瘍細胞の増殖を抑える成分が発見され、抗腫瘍作用や予防医療としての役割が注目されています。

参考:ハトムギCoix lacryma-jobi L. var. ma-yuen Stapfの有用成分に関する研究|日本補完代替医療学会誌 第10巻 第2号 2013年9月:69-74 

薏苡仁(ヨクイニン)の効果

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)の効果

薏苡仁(ヨクイニン)のおもな効能は、以下の4つといわれています。

  • ウイルス性のイボの改善
  • 肌の調子を整える
  • デトックス効果
  • 脂肪の代謝を上げて痩せる効果

以下で詳しく説明します。

効果1.ウイルス性のイボの改善が期待できる

薏苡仁(ヨクイニン)は、免疫機能をサポートすることで、ウイルス性のイボ(疣贅)に効果があるとされています。

即効性は期待できないといわれ、長期的な服用が必要とされています。

また、顔のイボ(疣贅)に対して液体窒素を使用した治療法をおこなうと色素沈着が残る可能性があるため、薏苡仁(ヨクイニン)による施術が選ばれることもあります。

日本皮膚科学会の尋常性疣贅診療ガイドライン2019でも、免疫学的治療法の一つとして薏苡仁(ヨクイニン)の内服療法が推奨されました。

効果2.肌の調子を整える

薏苡仁(ヨクイニン)に含まれるコイクセラノイドは、肌のターンオーバーをサポートし、炎症をやわらげる働きがあるとされています。

また、炎症を抑えるだけでなく、膿の排出を促す効果もあるとされ、にきびや熱を持った肌のケアにも活用されてきました。

効果3.デトックス効果が期待できる

薏苡仁(ヨクイニン)は、体内の水分バランスや血行をサポートし、新陳代謝を高める働きがあるとされています。

むくみや腎臓の健康維持に役立つ可能性があります。

効果4.脂肪の代謝を上げて痩せる効果が期待できる

薏苡仁(ヨクイニン)に含まれる「9-ヒドロキシ-オクタデカン酸」という成分には、脂肪代謝を助ける働きがあるとされています。

研究では、ハトムギエキスには細胞の糖分の取り込みをうながし、脂肪を作り出す物質の働きを抑える効果が報告されました。

このことから、糖尿病や高コレステロールなど、生活習慣病の予防に役立つ可能性もあります。

参考:National Library of Medicine | Adlay seed extract decreased adipocyte differentiation and increased glucose uptake in 3T3-L1 cells | Epub 13. Dec. 2010.

参考:National Library of Medicine | Peroxisome proliferator-activated receptor gamma ligands isolated from adlay seed | Epub 01. Apr. 2009.

薏苡仁(ヨクイニン)の効果が出るまでの期間は約8週間

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)の効果が出るまでの期間は約8週間

薏苡仁(ヨクイニン)の効果が現れるまでの期間には個人差があります。

日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、服用期間ごとの改善率が以下のように示されています。

薏苡仁(ヨクイニン)内服療法における改善率の推移

服用期間改善率
1か月(4週間)約21.4%
2か月(8週間)約50%
3か月(12週間)約66.7%

参考:日本皮膚科学会ガイドライン「尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版)」

小児などの若い人ほど効果を実感しやすい一方で、成人は効果が現れるまで時間がかかるため、長期的な服用が推奨されます。

成人の人が効果を実感するためには、少なくとも2~3か月の継続的な服用が必要とされています。

医師の指導のもとで、ご自身に合った服用期間を相談しながら続けることをおすすめします。

薏苡仁(ヨクイニン)の副作用は消化器症状や皮膚のかゆみ

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)の副作用は消化器症状や皮膚のかゆみ

薏苡仁(ヨクイニン)のおもな副作用として、以下のような症状が報告されています。

  • 胃部不快感
  • 下痢
  • 発疹、発赤
  • かゆみ


独立行政法人国立健康・栄養研究所が発表している健康食品に関する通知では、ハトムギ種子抽出物の摂取により胚毒性や子宮収縮の促進作用が認められました。

そのため、妊娠中や授乳中の方がハトムギを過剰に摂取する際には注意が必要とです。

薏苡仁(ヨクイニン)は他の薬との飲み合わせはOKだが、重複に注意

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)は他の薬との飲み合わせはOKだが、重複に注意

薏苡仁(ヨクイニン)は、他の薬との飲み合わせで問題となる成分は報告されていません。

しかし、薏苡仁(ヨクイニン)を含む複数の製品を同時に使用する際は注意が必要です。

以下のような漢方薬や医薬品に薏苡仁(ヨクイニン)が含まれていることがあります。

  • 薏苡仁湯(ヨクイニントウ)、麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)などの漢方薬
  • 市販のイボ取り薬
  • ハトムギエキスを含む製品

これらを併用すると、薏苡仁(ヨクイニン)を過剰に摂取してしまう可能性があります

薏苡仁湯(ヨクイニントウ)と薏苡仁(ヨクイニン)の違い

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁湯(ヨクイニントウ)と薏苡仁(ヨクイニン)の違い

薏苡仁(ヨクイニン)は、いぼや肌荒れに使用される単独の生薬です。

一方、薏苡仁湯(ヨクイニントウ)は、薏苡仁(ヨクイニン)のほかに複数の生薬を組み合わせて作られた漢方薬で、おもに神経痛などの症状に用いられます。

薏苡仁湯(ヨクイニントウ)については、次の「薏苡仁(ヨクイニン)が含まれる漢方」で詳しくご説明します。

薏苡仁(ヨクイニン)が含まれる代表的な漢方

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)が含まれる代表的な漢方

薏苡仁(ヨクイニン)は、多くの漢方薬に配合されており、代表的な漢方薬は下記の3つです。

  • 薏苡仁湯(ヨクイニントウ)
  • 桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)
  • 麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)

それぞれの漢方薬は、薏苡仁(ヨクイニン)の特徴を活かしながら、ほかの生薬との組み合わせによって、さまざまな効果を発揮します。

薏苡仁湯(ヨクイニントウ):体にたまった余分な水分を取り除き痛みをやわらげるとされる漢方薬

薏苡仁湯(ヨクイニントウ)は、体を温めながら余分な水分を排出し、関節の腫れや痛みをやわらげる生薬です。

構成生薬

薏苡仁(ヨクイニン)、蒼朮(ソウジュツ)(もしくは白朮(ビャクジュツ))、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)、甘草(カンゾウ)

効能

  • 関節炎の緩和
  • 筋肉痛の緩和
  • 神経痛の緩和

おすすめな人

  • 関節や筋肉のはれや痛みがある方
  • 雨の日に関節が冷えて痛む方
  • 関節の曲げ伸ばしに苦労する方

【副作用】

  • 偽アルドステロン症(血圧上昇、むくみ、体重増加、低カリウム血症)
  • ミオパシー(脱力感、四肢の痙攣や麻痺)
  • 不眠、発汗過多、動悸、精神興奮、全身脱力感
  • 排尿障害
  • 発疹や蕁麻疹などのアレルギー症状
  • 胃部不快感や胃もたれ

副作用が出た場合は服用を中止し、医師、薬剤師に相談してください。

桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)は、シミやニキビに効果的とされる漢方

桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)は、血行をサポートすることで、シミやニキビの改善が期待できる漢方薬です。

構成生薬

桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)、薏苡仁(ヨクイニン)

効能

  • にきび、シミの改善
  • 手足の湿疹や皮膚炎の緩和
  • 月経不順の緩和
  • 血の道症のサポート

おすすめな人

比較的体力があり、以下のような症状を感じる方

  • 下腹部痛
  • 肩こり
  • 頭重
  • めまい
  • のぼせと足の冷え

副作用

発疹や蕁麻疹(じんましん)などのアレルギー症状

麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)は、関節痛や神経痛、筋肉痛に効くとされる漢方薬

麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)は、血行をサポートし、末梢を温めることで痛みの緩和が期待される漢方薬です。

構成生薬

麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、薏苡仁(ヨクイニン)、甘草(カンゾウ)

効能

  • 関節痛、神経痛、筋肉痛の緩和
  • 解熱
  • むくみの改善

おすすめな人

  • 関節や筋肉の痛みが長く続いている方
  • むくみや冷え症の症状がある方

副作用

  • 偽アルドステロン症(血圧上昇、むくみ、体重増加、低カリウム血症)
  • ミオパシー(脱力感、四肢の痙攣や麻痺)
  • 不眠、発汗過多、動悸、精神興奮、全身脱力感
  • 排尿障害

薏苡仁(ヨクイニン)は、肌をすこやかに保ち、痛みをやわらげる漢方に使われている生薬

ハトムギに実が生る写真 ※薏苡仁(ヨクイニン)はハトムギの種皮を除いた種子

薏苡仁(ヨクイニン)は、肌をすこやかに保ち、痛みをやわらげる漢方に使われている生薬

薏苡仁(ヨクイニン)は、古くから肌の健康維持をサポートする生薬として服用されてきました。おもな効能は以下のとおりです。

  • 免疫機能をサポートし、ウイルス性のイボの改善
  • 肌荒れやにきびのケア
  • 新陳代謝を活発にし、デトックス効果への期待
  • 脂肪代謝を助け、生活習慣病の予防

また、漢方薬の成分として配合されることで、関節痛や神経痛、筋肉痛などの痛みの緩和も期待できます。

薏苡仁(ヨクイニン)は、肌トラブルや鎮痛など、身近な不調をサポートしてくれる生薬です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次