枸杞子(クコシ)は、滋養強壮や目の健康維持に役立つ生薬として知られています。
近年では、美肌効果も期待され、注目を集めている生薬です。
鮮やかな赤い実が特徴で、漢方薬だけでなく、薬膳料理やデザートなど、幅広い用途で用いられています。
今回は、枸杞子(クコシ)の特徴や効能について詳しく解説します。
枸杞子(クコシ)は滋養強壮作用があり、目の健康をサポートする生薬のこと

枸杞子(クコシ)は滋養強壮作用があり、目の健康をサポートする生薬のこと
枸杞子(クコシ)は、中国や東アジア原産のナス科の植物であるクコの果実を乾燥させたものです。
ビタミン類やゼアキサンチン、ベタインなど豊富な栄養素を含む生薬で、漢方薬に配合されるほか、薬膳料理や中華料理のデザートとして用いられています。
美味しく健康効果も期待できるうえ、見た目も美しい食材です。
概要は下記の通りです。
枸杞子(クコシ)の概要について
生薬名 | 枸杞子(クコシ) |
---|---|
学名 | Lycium chinense Mill. |
基原 | クコLycium chinense Miller又はLycium barbarum Linné (Solanaceae ナス科)の果実 |
薬用部位 | 果実 |
産地 | 中国 |
主要成分 | ・アミノ酸類:betaine ・カロチノイド類:zeaxanthin(果皮の紅色色素), physalien ・その他:linoleic acid, vitamin B1, B2, C, cinnamic acidなど |
主な薬効 | ・強壮作用 ・目の症状改善作用 ・虚弱体質の改善 ・腰膝の疼痛緩和 ・無力感の改善 ・めまい、頭痛の緩和 ・かすみ目の改善 ・疲労回復 |
参考:熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース |クコ Lycium chinense Mill.
枸杞子(クコシ)の主要成分
枸杞子(クコシ)には、以下のような成分が含まれています。
- アミノ酸類:ベタイン(betaine)
- カロチノイド類:ゼアキサンチン(zeaxanthin、果皮の紅色色素)、フィサリン(physalien)
- その他:リノール酸(linoleic acid)、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、桂皮酸(cinnamic acid)
枸杞子(クコシ)の特徴
枸杞子(クコシ)には、性味と呼ばれる生薬独自の性質があり、以下のような効果があるとされています。
性味と効果
- 甘味:体を補い、疲労回復や滋養強壮作用がある
- 平性:体を冷やしも温めもしない穏やかな性質
枸杞子(クコシ)は、甘味と平性という性質を持ち、体にやさしく穏やかに滋養を補給できる生薬です。
生薬における甘味には、生薬同士の相性を整え、滋養を補う働きがあるとされています。
枸杞子(クコシ)は、古くから滋養と目の健康によい万能な生薬・食品として用いられてきました。
近年の研究では、枸杞子(クコシ)の抗糖化作用が注目されています。
老化の一因となる「終末糖化産物(AGEs)」の蓄積を抑える効果を持つ可能性が示唆されており、とくに高齢者において顕著な抑制効果が確認されました。
このことから、枸杞子(クコシ)は老化の抑制にも期待されています。
枸杞子(クコシ)の効能

枸杞子(クコシ)の効能
枸杞子(クコシ)のおもな効能は、以下の4つといわれています。
- 滋養強壮・疲労回復効果が期待できる
- 視力の改善・眼精疲労の回復が期待できる
- 生活習慣病の予防効果が期待できる
- 美肌・美白効果が期待できる
以下で詳しく説明します。
効能①滋養強壮・疲労回復効果が期待できる
枸杞子(クコシ)は、滋養強壮作用と疲労回復効果が期待できる生薬です。
糖質の代謝に必要なビタミンB₁を豊富に含んでおり、糖質を効率よくエネルギーに変え、疲労物質である乳酸の蓄積を抑えることで、疲労を防ぎ回復を早める効果が期待できます。
また、枸杞子(クコシ)は漢方の五味では甘味に分類され、体の弱った機能を補い、強化する働きがあるとされています。そのため、滋養強壮への効果が期待されています。
効能②視力の改善・眼精疲労の回復が期待できる
枸杞子(クコシ)は、視力の改善や眼精疲労の回復に効果が期待できる生薬です。
その理由として、枸杞子(クコシ)にはカロチノイドが豊富に含まれていることが挙げられます。
とくに、ゼアキサンチンとルテインは、目の健康維持や疾患予防に効果的であることが、近年の研究で確認されました。
ゼアキサンチンとルテインは、網膜の中心部である黄斑に多く存在し、有害なブルーライトを吸収したり、抗酸化作用によって目をダメージから守ったりする働きがあるとされています。
そのため、枸杞子(クコシ)を摂取することで、加齢黄斑変性などの眼病予防や、パソコンやスマートフォンなどによる眼精疲労の回復が期待できます。
効能③生活習慣病の予防効果が期待できる
枸杞子(クコシ)には、血圧降下作用と抗脂肪肝作用があり、生活習慣病の予防に効果が期待できる生薬です。
枸杞子(クコシ)は、血圧を下げる効果があるとされています。
これにより、アンジオテンシン変換酵素の活性を阻害する働き、つまり、血圧を上昇させる酵素の働きを抑える効果があると考えられているためです。
また、枸杞子(クコシ)に含まれるベタインには、肝臓での脂肪の代謝を促進し、脂肪肝を予防する効果が期待されています。
脂肪肝とは、食べすぎや運動不足などにより、余った糖質や脂質が中性脂肪として肝臓に蓄積される病気のことです。
このように、枸杞子(クコシ)は、血圧を下げ、脂肪肝を予防する効果が見込めることから、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病の予防に役立つと考えられます。
参考:道研所報, 第42集|「薬用植物クコの育苗・増殖試験とクコ果実(枸杞子)のアンジオテンシン変換酵素阻害活性」| 1992.
効能④美肌・美白効果が期待できる
枸杞子(クコシ)は、美肌・美白効果が期待できる生薬です。
近年の研究では、クコの実エキスを経口摂取することで、紫外線による肌ダメージに対して、以下のような効果が報告されています。
- 肌が赤くなる(紅斑)や黒くなる(黒化)ことを抑制する。
- 黒化した肌の回復を早める。
これらの効果は、クコの実エキスが持つ抗酸化作用により、体内の防御システム(抗酸化タンパク質や酵素)を高めることで発揮されるとされています。
これは、化粧品のように肌の表面に作用するのではなく、体の内側から肌を守る新しいメカニズムといえます。
参考:資生堂|「枸杞(クコ)の実」エキスの経口摂取による新たな美白効果を発見
枸杞子(クコシ)を摂取する際の注意点

枸杞子(クコシ)を摂取する際の注意点
枸杞子(クコシ)は、美容や健康に役立つさまざまな効果が期待できる一方で、体質や摂取量によっては副作用が生じることもあります。
ここでは、枸杞子(クコシ)を摂取する際に注意すべき点について解説します。
枸杞子(クコシ)の副作用は下痢、かゆみ
枸杞子(クコシ)は、体質や摂取量によって副作用が生じることがあります。
枸杞子(クコシ)のおもな副作用は以下の通りです。
- 下痢
- 皮膚のかゆみ
- ほてり
- 血圧上昇
- 湿疹
- 肝障害
- 肝機能異常
- 急性肝炎
体に不調を感じた場合は摂取を中止し、医師や薬剤師にご相談ください。
クコの実を食べすぎると吐き気を催す可能性がある
クコの実は、摂取量や体質によっては副作用が生じる可能性があります。
以下のような消化器系の副作用が現れることがあります。
- 吐き気
- 腹痛
- 嘔吐
これらの症状は、クコの実の過剰摂取により、胃腸に負担がかかることが原因と考えられます。
適正な摂取量
クコの実の適正な摂取量は、1日あたり10〜15gとされています。
これは、乾燥したクコの実で約10〜20粒程度に相当します。
ただし、体質や体調によって適切な量は異なりますので、様子を見ながら摂取量を調整することが大切です。
アレルギーや食べ合わせに関する注意点
トマト、ピーマン、モモなどにアレルギーがある方が、クコの実でもアレルギー反応が出た事例もあるため注意が必要です。
また、クコの実はカニとの食べ合わせが悪いとされており、とくに胃腸が弱い方が一緒に摂取すると、お腹を壊す可能性があります。
クコの実を摂取する際は、上記の点に注意し、体調に異変を感じた場合は、すぐに摂取を中止し、医師や薬剤師にご相談ください。
枸杞子(クコシ)と枸杞葉(クコヨウ)の違い

枸杞子(クコシ)と枸杞葉(クコヨウ)の違い
枸杞子(クコシ)はクコの果実を乾燥させたものですが、クコの葉を乾燥させたものは枸杞葉(クコヨウ)と呼ばれます。
また、クコの根の皮を乾燥させたものは地骨皮(ジコツピ)と呼ばれ、それぞれ生薬として用いられます。
ここでは、枸杞子(クコシ)、枸杞葉(クコヨウ)、地骨皮(ジコツピ)の違いを比較してみましょう。
部位 | 生薬名 | 効能・用途 | 利用方法 | 含有成分 |
---|---|---|---|---|
果実 | 枸杞子(クコシ) | ・強壮作用 ・目の症状改善 ・虚弱 ・腰膝の疼痛 ・無力感 ・めまい、頭痛 | デザートや菓子の材料、杏仁豆腐の添え物として使用 | ・アルカロイド(betaine) ・カロチノイド(carotene,zeaxanthin) |
葉 | 枸杞葉(クコヨウ) | ・強壮薬 ・動脈硬化や高血圧の予防として茶に使用 | 若葉はあえ物、炊き込みご飯、天ぷらに使用 | ・ベタイン ・フラボノイド配糖体 ・ルチン ・ビタミンC ・β-シトステロール ・アミノ酸 ・ミネラル ・ビタミンなど |
根皮 | 地骨皮(ジコツピ) | ・清熱 ・滋養作用 ・慢性的な微熱、盗汗 ・糖尿病、高血圧 ・咳や痰 ・滋陰至宝湯 ・清心蓮子飲に配合 | なし | ・アルカロイド(kukoamine A, betaine) |
参考:熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース |クコ Lycium chinense Mill.
クコの果実(枸杞子)、根皮(地骨皮)、葉(枸杞葉)は、それぞれ異なる効能・用途、利用方法、含有成分を持ち、生薬や健康食品、食材として幅広く活用されています。
枸杞子(クコシ)が含まれる漢方は杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)

枸杞子(クコシ)が含まれる漢方は杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
杞菊地黄丸(コギクジオウガン)は、枸杞子(クコシ)と菊花(キクカ)を含む、とくに目の不調に用いられる漢方薬です。
構成生薬
地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、枸杞子(クコシ)、菊花(キクカ)
効能
- かすみ目、つかれ目、視力低下
- のぼせ
- 頭重(頭が重い感じ)
- めまい
- 排尿困難、頻尿
- むくみ
おすすめな人
- 体力が中等度以下の方
- 顔や手足がほてる症状がある方
- 尿の量が少ない、または多い方
- 口が渇く方
- 疲れやすい方
- 目の不調(かすみ目、疲れ目、視力低下)を感じる方
副作用
- 発疹・かゆみ
- 食欲不振・胃腸の不快感
- 下痢
副作用が現れた場合や、1か月程度服用し症状の改善が見られない場合は、医師や薬剤師にご相談ください。
クコの実の効果的な食べ方

クコの実の効果的な食べ方
杏仁豆腐のトッピングとして知られるクコの実は、海外では「ゴジベリー」と呼ばれ、スーパーフードとして注目を集めています。
ここでは、クコの実の効果的な食べ方と注意点をご紹介します。
クコの実の食べ方
クコの実は、以下のような方法で手軽に摂取できます。
- そのまま食べる: ドライフルーツのように、そのままおやつ感覚で食べられます。
- 薬膳料理に入れる: スープや煮込み料理、炒め物などに加えることにより、栄養価もアップします。
- お茶に入れて飲む: お湯を注いでクコ茶として楽しむこともできます
摂取する際の注意点
中国では、クコの実は1日の摂取量を少なめに、長期間服用するのが好ましいとされています。
人それぞれ体質や体調が異なるため、まずは少量から食べ始めて、様子を見ることをおすすめします。
枸杞子(クコシ)は滋養強壮、目の健康、美肌効果も期待できる生薬

枸杞子(クコシ)は滋養強壮、目の健康、美肌効果も期待できる生薬
枸杞子(クコシ)は、滋養強壮作用、目の健康維持、生活習慣病予防、美肌・美白効果など、さまざまな効果が期待できる生薬です。
おもな効能は以下の通りです。
- ビタミンB₁を含み、滋養強壮・疲労回復効果が期待できる
- カロチノイドの働きで、視力の改善・眼精疲労の回復をサポートする
- 血圧降下作用、抗脂肪肝作用により、生活習慣病の予防に役立つ
- 抗酸化作用で、シミやくすみを防ぎ、美肌・美白効果が期待できる
美容や健康維持に役立つ枸杞子(クコシ)。
ご自身の体調と相談しながら取り入れてみてはいかがでしょうか。