黄柏(オウバク)とは?胃腸の健康をサポートし、抗ウイルス作用も期待できる生薬を解説

黄柏(オウバク)※ミカン科のキハダからコルク層を除いた樹皮

黄柏(オウバク)は、胃腸の健康維持をサポートする生薬です。

胃もたれや食欲不振、下痢などの消化器系の不調に役立つとされています。

また最近では、主成分ベルベリンに新型コロナウイルスへの抗ウイルス作用が発見されたことで注目を集めました。

今回は、黄柏(オウバク)の特徴や期待される効果についてご紹介します。

目次

黄柏(オウバク)は健胃、整腸、消炎作用を持つ生薬のこと

黄柏(オウバク)※ミカン科のキハダからコルク層を除いた樹皮

黄柏(オウバク)は健胃、整腸、消炎作用を持つ生薬のこと

黄柏(オウバク)は、ミカン科のキハダという落葉高木から作られる生薬です。

日本を含む東アジアに広く分布するキハダは、樹皮の内側が鮮やかな黄色をしていることから名づけられました。

黄柏(オウバク)は、古くから知られる健胃整腸薬の「陀羅尼助(だらにすけ)」や「お百草(おひゃくそう)」にも配合されており、現代でも広く活用されています。

概要は以下の通りです。

黄柏(オウバク)の概要について

生薬名黄柏(オウバク)
学名Phellodendron amurense
基原キハダ Phellodendron amurense Ruprecht 又は Phellodendron chinense Schneider(Rutaceae)の周皮を除いた樹皮
薬用部位樹皮
産地日本、中国
主要成分・アルカロイド(ベルベリン、パルマチン)
・オバクノンなど
主な薬効・苦味健胃作用
・整腸作用
・消炎作用
・収れん作用

参考:熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

黄柏(オウバク)の主要成分

黄柏(オウバク)には、以下のような成分が含まれています。

分類成分名含有量・特徴
アルカロイド類ベルベリン(Berberine)主成分
パルマチン(Palmatine)少量含有
マグノフロリン(Magnoflorine)微量含有
フェロデンドリン(Phellodendrine)微量含有
ジャトロリジン(Jateorrhizine)微量含有
苦味成分オバクノン(Obakunone)欧米では”Obacunone”と記載
リモニン(Limonin)別名オバクラクト(Obakulactone)精油成分のリモネン(Limonene)とは異なる
ブテノリド(Butenolide)微量含有

参考:北海道医療大学|オウバク(黄柏)

黄柏(オウバク)は、これらの成分が相互に作用することで抗菌、抗炎症、健胃整腸などの効果を発揮します。

黄柏(オウバク)の特徴

黄柏(オウバク)には性味と呼ばれる2つの独特の作用があり、以下のような効果があります。

性味と効果

  • 苦味:体内の余分な熱や湿気を取り除き、炎症を抑える
  • 寒性:体を冷やす性質があり、熱を取り除き、毒素の排出を促す

近年の研究において、黄柏(オウバク)の主成分であるベルベリンには、記憶力や認知機能を向上させる効果があると示唆されました。

とくに、脳内での炎症を抑制し、神経伝達物質のバランスを整える作用が注目されています。

この研究成果は、アルツハイマー病や認知症などの予防や治療に新たな可能性を示しており、今後の研究の進展が期待されています。

参考:National Library of Medicine | Phellodendron amurense and Its Major Alkaloid Compound, Berberine Ameliorates Scopolamine-Induced Neuronal Impairment and Memory Dysfunction in Rats | Epub 25. Apr. 2012.

黄柏(オウバク)の効能

黄柏(オウバク)※ミカン科のキハダからコルク層を除いた樹皮

黄柏(オウバク)の効能

黄柏(オウバク)のおもな効能は、以下の5つといわれています。

  • 胃の働きを助け、消化を促進する
  • 腸の調子を整え、下痢などの症状を改善する効果が期待できる
  • 炎症を抑え、痛みや腫れの緩和が期待できる
  • 皮膚や粘膜を引き締め、皮脂分泌を調整する
  • 新型コロナウイルス・インフルエンザウイルスへの抗ウイルス作用が期待できる

以下で詳しく説明します。

効能①胃の働きを助け、消化を促進する

黄柏(オウバク)に含まれるベルベリンは、胃の働きを助け、消化を促進する効果があるとされています。

とくに食べ過ぎや飲み過ぎによる胃もたれ、胃の不快感に効果を発揮します。

効能②腸の調子を整え、下痢などの症状を改善する効果が期待できる

黄柏(オウバク)は、腸内の有害な細菌の増殖を抑える殺菌作用を持っています。

そのため、腸内での異常発酵による腹痛や下痢などの症状に対して、改善効果が期待できます。

また、急性腸炎に対しても効果があるとされてきました。

さらに、近年の研究では、マウスを用いた実験において、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の症状を改善する可能性が報告されています。

参考:洪鉄(2002) | マウス大腸炎における生薬の薬理学的研究 : 有効成分と作用機序 | 博士(医学)、東京大学、2002年11月20日

効能③炎症を抑え、痛みや腫れの緩和が期待できる

黄柏(オウバク)には、体内の炎症を抑制し、痛みや腫れをやわらげる効果が期待できます。

この作用は、おもにベルベリンやパルマチンといった成分によるものと考えられています。

黄柏(オウバク)は、内服だけでなく、外用薬や入浴剤としても広く利用されてきました。

以下のような症状の改善に役立つとされています。

  • 打撲による痛みや腫れ
  • 関節リウマチの痛み
  • 腰痛
  • 火傷による炎症

民間療法では、黄柏(オウバク)の粉末を食酢で練って患部に塗布し、ガーゼで覆う方法が打撲傷の治療に効果的とされています。

また、熱を鎮める性質から、火傷の症状緩和にも用いられてきました。

さらに、入浴剤として使用することで、関節の痛みや腰痛の緩和にも効果が期待できます。

参考:J Ethnopharmacol | Effect of Phellodendron amurense in protecting human osteoarthritic cartilage and chondrocytes | Epub 21. Dec. 2010.

効能④皮膚や粘膜を引き締め、皮脂分泌を整える

黄柏(オウバク)の主要成分であるベルベリンには、抗炎症作用と抗菌作用があり、皮膚や粘膜を健やかに保つ効果があります。

近年の研究では、ベルベリンにはニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑制する効果があると報告されました。

さらに、リパーゼと呼ばれる酵素の活性を抑制することで、過剰な皮脂の分泌を抑える働きも期待できます。

これらの作用により、毛穴周辺の炎症を軽減し、肌トラブルの改善ができるとされています。

効能⑤主要成分ベルベリンは新型コロナウイルス・インフルエンザウイルスへの抗ウイルス作用が期待できる

近年の研究では、黄柏(オウバク)の主成分であるベルベリンにSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)に対する抗ウイルス効果があると報告されました。

このため、ベルベリンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬開発における有望な候補の一つとして、さらなる研究が進められています。

参考:西原正和(2021) | 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するベルベリンの効果 | ファルマシア、57巻5号、p.412、DOI: https://doi.org/10.14894/faruawpsj.57.5_412

黄柏(オウバク)の副作用は、食欲不振、下痢

黄柏(オウバク)※ミカン科のキハダからコルク層を除いた樹皮

黄柏(オウバク)の副作用は、食欲不振、下痢

黄柏(オウバク)のおもな副作用として、食欲不振と下痢が報告されています。

これらの症状は、おもに過剰な摂取によって引き起こされることが知られています。

副作用が出現した場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

黄柏(オウバク)が含まれる代表的な漢方

黄柏(オウバク)※ミカン科のキハダからコルク層を除いた樹皮

黄柏(オウバク)が含まれる代表的な漢方

黄柏(オウバク)は、多くの漢方薬に配合されており、代表的な漢方薬は下記の3つです。

  • 荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
  • 黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
  • 滋陰降火湯(ジインコウカトウ)

これらの漢方薬は、黄柏(オウバク)の消炎作用や抗菌作用を活かしながら、他の生薬との組み合わせによって効果を発揮します。

荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ):鼻炎やニキビ、アトピー性皮膚炎に効果的とされる漢方処方

荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)は、炎症を抑え、アレルギー症状を緩和する効果が期待される漢方薬です。

構成生薬

黄芩(オウゴン)、黄柏(オウバク)、黄連(オウレン)、桔梗(キキョウ)、枳実(キジツ)、荊芥(ケイガイ)、柴胡(サイコ)、山梔子(サンシシ)、地黄(ジオウ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、当帰(トウキ)、薄荷(ハッカ)、白芷(ビャクシ)、防風(ボウフウ)、連翹(レンギョウ)、甘草(カンゾウ)

効能

  •  急性・亜急性の鼻炎、中耳炎、副鼻腔炎の緩和
  • 蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、化膿性皮膚疾患の症状を権限
  • 充血、のぼせ、出血、炎症の緩和
  • 精神的興奮をやらげる
  • 貧血、血行障害の改善をサポート

おすすめな人

  • 鼻炎や副鼻腔炎、中耳炎に悩む人
  • 蕁麻疹やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある人
  • 貧血や更年期障害、不正出血がある人

副作用

  • 間質性肺炎(発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常等)
  • 発疹
  • 胃が重い、胃部膨満感

副作用が出現した場合は服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

参考:名城大学特設サイト「第87回 漢方処方解説(44)荊芥連翹湯」

黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ):体の熱を冷まし、不安やイライラに効果的とされる漢方処方

黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)は、体の余分な熱を取り除き、心身の不調を改善する漢方薬です。

構成生薬

黄連(オウレン)、黄柏(オウバク)、黄芩(オウゴン)、山梔子(サンシシ)

効能

  • 顔面充血、のぼせ感の緩和
  • 興奮、不安・焦燥感、動悸の緩和
  • 不眠の緩和
  • めまい、頭痛、耳鳴りの緩和
  • 胸焼けの緩和
  • 口内炎、鼻出血、自出血の緩和
  • じんましん、皮膚のかゆみをやらげる

おすすめな人

  • 高熱やのぼせ、不安感、動悸などの症状がある人
  • 二日酔いや飲酒による胃腸の不調をやわらげたい人
  • 皮膚の炎症やかゆみで悩む人

副作用

  • 間質性肺炎(初期症状:息切れ、発熱、空咳)
  • 腸間膜静脈硬化症(初期症状:腹痛、下痢、悪心、嘔吐)
  • 肝機能障害
  • 黄疸
  • 過敏症
  • 消化器症状

注意点

体を冷やす作用が強いため、胃腸が弱い方は服用を避けることをお勧めします。

なお、冷やして飲むことで効果が高まるとされています。

副作用が現れた場合は服用を中止し、医師や薬剤師にご相談ください。

参考:名城大学特設サイト「第66回 漢方処方解説(31)黄連解毒湯」

滋陰降火湯(ジインコウカトウ):乾いた咳や口の渇きをやわらげるとされる漢方処方

滋陰降火湯(ジインコウカトウ)は、空咳や口腔の乾燥などの症状を改善する漢方薬です。

構成生薬

当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、麦門冬(バクモンドウ)、天門冬(テンモンドウ)、陳皮(チンピ)、蒼朮(ソウジュツ)、知母(チモ)、黄柏(オウバク)、甘草(カンゾウ)

効能

  • 乾いた咳(空咳)、長引く慢性の咳、痰に血が混じる咳の緩和
  • 口の渇き、口腔乾燥(シェーグレン症候群など)をやらげる

おすすめな人

  • 乾いた咳や口の渇きに悩む人
  • 長引く咳で痰が出にくい人
  • 温めると症状が悪化する咳がある人
  • 高齢で咳症状がある人
  • シェーグレン症候群などで口腔乾燥がある人

副作用

  • 偽アルドステロン症(低カリウム血症、むくみ、血圧上昇、体重増加など)
  • ミオパシー(脱力感、四肢のしびれ・麻痺など)
  • 発疹・蕁麻疹などのアレルギー反応
  • 消化器症状(胃部不快感や食欲不振)

参考:名城大学特設サイト「第117回 漢方処方解説(66)滋陰降火湯」

黄柏(オウバク)は健胃、整腸、消炎作用に優れ、抗ウイルス作用も期待できる生薬

黄柏(オウバク)※ミカン科のキハダからコルク層を除いた樹皮

黄柏(オウバク)は健胃、整腸、消炎作用に優れ、抗ウイルス作用も期待できる生薬

黄柏(オウバク)は、古くから漢方薬の原料として用いられてきた生薬です。

おもな効能は以下の通りです。

  • 胃の働きを助け、消化を促進する
  • 腸の調子を整え、下痢などの症状を緩和する
  • 炎症を抑え、痛みや腫れをやわらげる
  • 皮膚や粘膜を引き締め、皮脂分泌を整える
  • 主成分ベルベリンによる抗ウイルス作用

胃腸の不調や炎症でお悩みの方は、医師や薬剤師に相談のうえ、黄柏(オウバク)を含む漢方薬の服用を検討してみてはいかがでしょうか。

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